小説

『月と六ペンス』サマセット・モーム

とにかくこの小説が素晴らしい点のひとつに、個性的な登場人物たちの軽快なやりとりがあると思う。
ゴーギャンがモデルだという画家のストリックランドに、語り手の「私」である小説家、そこにオランダ人画家のストルーヴェが加わる会話はどれも、それぞれ声色を変えて口に出したくなるような小気味いいリズム感で書かれている。

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映画

写真家 森山大道『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい』

とにかく、洒落ている。煙草、ロックなTシャツ、革靴にデニム。ずっと変わらないロングヘアー。手に収まってしまうくらいの小さなカメラ。言うこともいちいち洒落ている。写真とずっと向き合ってきたからこそ出る言葉、写真と生きてきたからこそ言うことの許される言葉たち。

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小説 映画

『モーリス』E.M フォースター 小説と映画

特にこの抱擁のシーンは、素晴らしかった!少しずつ心を通わせていたふたりが、勇気を持ってお互いに触れる場面。モーリスが指の間にクライヴの髪をくぐらせ、その繊細な手触りから愛情を与え、また受け取る。思わずクライヴがモーリスに抱きつき、二人は呼吸を止める。
誰かに恋したことのある人間ならわかる、息を止めた後、全身からため息が漏れるあの感覚が、画面から伝わってくる。緊張と昂りと喜びが同時に押し寄せる演技、凄まじかった。

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小説

『雨心中』唯川 恵

あらすじ 施設育ちの芳子と周也は、実の姉弟のように生きてきた。芳子にとって、周也はこの世で唯一「私のもの」といえる存在だ。周也は仕事が続かないが、芳子は優しく受け入れる。周也を甘やかし、駄目にしてきたのは自分だと芳子はわ …

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映画

『あゝ荒野』

大好きな寺山修司の『あゝ荒野』 映画を観て、それからまた原作を読んでみた。時代背景は現代になっていたし、ところどころ違う部分はあったけど、私は原作も映画もどちらも好き。 菅田将暉とヤン・イクチュンの組み合わせ、素晴らしか …

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映画

『たかが世界の終わり』

たかが世界の終わり

グザヴィエ・ドランの作品はしんどい。作品のテーマも捲したてる脚本も、目に入ってくる映像は普段とは違う眼の使い方で観ることを強いられる。本作も例外なく最初から最後まで、眉間に皺を寄せたままだった。それでも登場人物5人を必死 …

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